岡本甲状腺クリニック|天満橋甲状腺クリニック

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基礎知識

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甲状腺の血液検査のよみ方

FT3、FT4、TSH(甲状腺機能検査)

甲状腺ホルモンにはT3とT4の2種類があります。甲状腺から分泌されるのは主にT4で、T3は主に肝臓などでT4から作られます。体の中で実際にホルモンとして働くのはT3です。そのため、T4は甲状腺がホルモンを作る力、T3は全身の臓器での甲状腺ホルモンの働きの強さを反映します。
T3とT4は血液中でタンパク質と結合しているものと、結合していないもの(フリー)があります。通常の検査としてはFT3(フリーT3)とFT4(フリーT4)を測定します。
TSH は脳下垂体から分泌され、甲状腺を刺激してホルモンの分泌量を調整します。甲状腺ホルモンが少ないとTSHが上がり、多すぎると下がります。軽い異常ではFT3・FT4がまだ正常でも、TSHが最初に変化するため、早期の甲状腺機能異常を見つけるにはTSHの測定が大切です。

TgAb(抗サイログロブリン抗体)、TPOAb(TPO抗体)

橋本病は、甲状腺に対して異常な免疫反応(自己免疫)が起こることで、甲状腺に慢性炎症が生じる病気です。これら2種類の検査は、甲状腺に対して自己免疫反応が起きているかどうかを調べるための抗体検査です。どちらか一方でも陽性であれば、橋本病の可能性が高いと考えます。ただし、バセドウ病でもこれらの抗体が陽性になることがあるため、甲状腺ホルモンの値とあわせて判断します。
抗体の値が非常に高くなることもありますが、抗体そのものが体に害を与えることはありません。あくまで「橋本病の目印」と考えてください。
橋本病では約90%の方でTgAbが陽性になります。TPOAbだけが陽性の方は10%以下のため、まずはTgAbを測定し、TgAbが陰性でも橋本病が疑われる場合にはTPOAbを追加で調べます。

TRAb(TSHレセプター抗体)、TSAb(甲状腺刺激抗体)

バセドウ病は、甲状腺を刺激する抗体が作られることにより、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。この刺激する抗体を調べる検査がTRAbとTSAbです。甲状腺ホルモンが高くなっている状態で、これらの抗体のいずれかが陽性であれば、バセドウ病と診断します。
TRAbとTSAbの違いは、測定方法の違いです。TRAbは採血から30~40分で結果がわかりますが、TSAbは結果が出るまで約1週間かかります。診断の確かさはほぼ同じで、結果が早いことから通常はTRAbを測定します。ただし、2つの検査結果が一致しないことがあります。TRAbが陰性でもバセドウ病が疑われる場合や、目の症状(甲状腺眼症)を認める場合などにTSAbを追加します。
また、これらの抗体は診断だけでなく、病気の勢い(活動性)をみるためにも測定されます。病状が落ち着いてくると抗体の値も下がってきます。

サイログロブリン

サイログロブリンは、甲状腺ホルモンが作られる時の材料となるタンパク質です。甲状腺に腫瘍がある場合や、橋本病・バセドウ病などで甲状腺が腫れている場合、炎症が起きている場合などに高くなります。ただし、この値だけで甲状腺腫瘍の良性・悪性を区別することはできません。
一方、甲状腺がんの手術で甲状腺をすべて摘出した方では、再発のマーカーとしてサイログロブリンが役立ちます。

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